【御報告】2021年7月12日(月)に MOTシンポジウム: 世界経済展望シリーズ①「マクロ経済の課題」をオンラインで開催。ソレイユ・グローバル・アドバイザーズ・ジャパン株式会社の榊原可人様をお迎えしました

東京理科大学MOTは、様々なテーマについて、皆様と議論を重ねていく場をオンライン中心に展開しています。
2021年7月12日から3回のシリーズで、経済番組での解説などでおなじみのフェルドマン教授によるMOTシンポジウム: 世界経済展望シリーズを3回にわたって開催しております。

第1回目の7月12日(月)は、「マクロ経済の課題」と題して、コロナの影響、世界成長とインフレの展望、日本の景気展望をマクロ経済の観点からフェルドマン教授が話をして、それに対して榊原可人様(ソレイユ・グローバル・アドバイザーズ・ジャパン(株)インベストメント・ディレクター)からコメントをいただきました。
フェルドマン教授は、今回のシンポジウムに先駆け、
榊原様に「*悪魔の代弁者になってください」と依頼しました。
 *「悪魔の代弁者(Devil’s Advocate)」とは、あえて批判的な立場で反対意見を述べる役割のディベートテクニック用語です。
榊原様は、議論を活性化するためにその役割をお引き受けいただき、議論を深めていただきました。下の写真は、榊原様の資料で掲載があったDevil’s Advocateという香港に実在するBarと、榊原様です。

フェルドマン教授のポイント:
コロナに関して:(1)世界中のコロナはデルタ株が広がっている中、景気回復ペースは若干遅れるでしょうが、脱線することはないと思われます。
(2)今後の感染状況は、ロンドン衛生及び熱帯医療大学院のクチャルスキー教授の枠を利用出来る。
すなわち、実効再生産数=(感染日数)*(感染者が一日に会う人数)*(感染者が会った相手に病気を伝染する確率)*(伝染された人が感染する確率)、です。今は、外出が多くなり、感染性が高いデルタ株が広がっているので、実効再生産数を減らすには最後の伝染確率を下げることは急務です。接種を早く広げるのが一番ベストだが、日本は接種ペースがまだ遅い。
(3)技術経営の観点から各国も日本のやり方を見ると、改善の余地はあります。日本は、特に平時のルールと有事のルールを作るべきではないでしょうか。
榊原様のポイント:
コロナに関して:どの国よりも病床が多い日本は、コロナになって病床が足りなかったことは、市場の失敗の観点から分析すべき。行政の問題もあります。

フェルドマン教授のポイント:
世界景気に関して:(1)コロナ後の世界に向かっているが、ペースは若干鈍くなる可能性もある。
(2)最近のサプライチェーンの混乱で物価が一時的に加速しているが、今はピークと思われる。
(3)長期的にインフレが加速するかどうかは、需要の伸びに供給の伸びが追い越すかどうか次第。講師は、技術革新のペースはコロナによって加速としているという意見ですので、インフレは大きな問題にならないと思っています。
榊原様のポイント:
世界景気に関して:日本経済は相変わらず冴えないことは、特に法人部門の貯蓄超過が大きいからです。加えてもう一つの理由は、K型社会(所得格差が広がっている事)になっていることです。中学の入試でこの問題を取り上げた学校があることは、日本で貧困の問題が非常に大きくなっていることの表れでしょう。政府がもともと財政を十分に使っていないこともあり、もっと積極的な政策によってこの問題に取り組むべきだと思われます。
フェルドマン教授のポイント:
日本の景気展望: 日本の景気展望を支える要因は:
(1)労働不足、コロナの影響によって、設備投資は相変わらず強いこと、
(2)政策が緊縮的になるのは当面ないこと、
(3)世界景気が回復している事、
(4)ある程度の円安が続くこと、です。
物価は、大きなコロナ不況でもデフレに戻らなかったことは政策の成功ですが、インフレ2%目標はほど遠いです。
榊原様のポイント:
日本の景気展望:超長期のトレンドを見ると、極めて長い「ディスインフレ」時代の次はインフレに戻る、という仮説も十分検討に値し、その証拠を見逃さないようにすべきです。特に世の中が急速にこれまでの経済合理性の追求でなく、SDGsやESGなどの社会的目標に高い優先順位を置きつつある中、コストを掛けてでもリスク管理やサステナブルな社会を目指すようになると、もしかしてインフレの基調を変化させることもあり得るのではないでしょうか。

榊原様から提起された3つのポイントについて、フェルドマン教授からそれぞれ質問があり、お二人の間で率直な議論が交わされました。その後、ご参加の皆様と活発な質疑、議論となりました。

東京理科大学MOTでは「生きた学び」を重視し、様々なプログラムを展開しています。今後も様々なテーマについて、皆様と議論を重ねていく場をオンライン中心に設けて参ります。どうぞご期待ください。