【生越由美】2023年7月8日(土)シンポジウム「30年を振り返って明日を考える」で講演します!

一般社団法人 経済産業調査会が発行している「特許ニュース」のNo15702 に『超スマート社会における知財戦略(25)』が掲載されました。概要は下記です。
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「第2節 バイオエコノミー」について、前回に引き続いて検討している。
「バイオエコノミー」という概念は、経済協力開発機構(OECD)が2009年に発表したレポート『2030年までの生物経済:政策アジェンダの設計(The Bioeconomy to 2030: designing a policy agenda)』で初めて示されたものである。
広義の経済学から見れば、バイオエコノミーとは、生物学的製品とプロセスの発明、開発、生産、利用に関連する一連の経済活動を指す。
OECD諸国および非OECD諸国において、大きな社会経済的貢献をもたらす可能性があると、各国は政策を策定した。
日本は、「バイオエコノミー」への対応にやや遅れており、このベースとなる学問の「合成生物学」も育っていない。
「合成生物学」とは、生物学と工学などの学際的な分野である。組織、細胞、遺伝子といった生物の構成要素を部品と見なし、それらを組み合わせて生命機能を人工的に設計したり、人工の生物システムを構築したりする学問分野のこと。
従来の分子生物学では、生物を個体から組織、細胞、分子、遺伝子へと細分化し、その機能を理解しようという解析的なアプローチが取られてきたが、合成生物学では、分子生物学などで蓄積された知見を生かしながら遺伝子を設計し、目的物質を生産するための代謝経路を構築し、それが機能する細胞や生物システムを作り出すという、構成的なアプローチを取るのが特徴である。
このため、構成的生物学や構成生物学とも呼ばれる。
バイオテクノロジー、遺伝子工学、分子生物学、分子工学、システム生物学、生物物理学、化学工学、生物工学、電気工学、制御工学、ならびに進化生物学などの分野を組み合わせたものである。
イギリスの合成生物研究センターではそれぞれのセンターに社会学者、哲学者が所属しており、ELSI/RRI に関する研究および情報発信を行っている。
図:合成生物学の概念(Rohini Keshavaら『オミクステクノロジーとバイオエンジニアリング』第4章-合成生物学:概要と応用から転載)