
2025.07.30 修了生が紹介するMOTの講義
専門科目「技術・生産マネジメント」(北林孝顕教授)|第5回:製品開発マネジメント ~ 日本のものづくり企業では何故、破壊的イノベーションが難しいのか ~
【2025年度夏学期】

「破壊的イノベーションとは何か、なぜ企業にとってそれが難しいのか。」MOTでは定番ともいえるこの話題が、今回のテーマであった。すでに多くの場面で解説されてきたが、製造業の現場と経営学の研究を往復されている北林教授の説明は、企業で働く私たちにとって腑に落ちるものであった。単なる知識にとどまらない、行間に挟まる「たとえば」の解説が印象的で、先生の実務経験の豊富さを感じた。

授業の中盤では、受講生が事前課題として持ち寄った「破壊的イノベーションの事例」の共有が始まった。ひとつひとつの事例に「正解・不正解」は言及せず、顧客の価値とは何かという本質に迫る議論が展開した。その議論の過程で、破壊的イノベーションの輪郭が少しずつ見えてくる感覚がした。まさに受講生の思考がフル回転していた時間だったと思う。そしてMOTならではの多様な業種の受講生が持ち寄る実例を聴き、考え、他者の視点を追体験する機会にもなった。
議論が深まったところで、先生から3つの切り口が提示された。この瞬間、ハッキリと「破壊的イノベーション」の正体が掴めた実感がした。そこから先は視界が一気に開け、外部環境、組織構造、マネジメント手法、企業文化、教育等の多様な観点から、受講生は「なぜ破壊的イノベーションが難しいのか」を指摘できるようになっていた。
全体として北林教授の講義は、受講生の理解に至るプロセスが緻密に設計され、深い学びが生まれる場となっている様に感じた。知識の獲得にとどまらず、実務とつながる深い学びが得られる時間であった。
執筆:2024年度修了生(建設業勤務)