2024年3月修了石川 諭
株式会社東芝
技術企画部 技術戦略室
戦略企画担当 シニアマネージャー
技術・経営の両視点から製造業の発展を支える
経営陣の思考を読み解く手がかりをつかむ
技術企画部のマネージャーとして、CTOと共に、全社の技術・研究開発の方針策定や実行計画の推進に、日々、奮闘しています。当社の経営課題の一つである「技術の価値転換」。その解決のヒントを求めて理科大MOTへの入学を決めました。
本学にはエッジの効いたカリキュラムが揃っていて、ビジネスを熟知した先生方の講義は刺激的です。なかでも『イノベーションを生む企業文化』は、座学だけでなく一流のゲストスピーカーによる講演とグループワークから成る密度の濃い内容となっています。これまでは一方向からしか見られなかったことを多面的に捉えられるようになり、思考の広がりを感じています。
また、以前はどう扱ってよいか分からず、ただ悶々と抱えていた諸課題が、フレームワークを応用することで、より整理されるようになりました。その成果でしょうか、業務においても経営陣がどのように考えた上で指示やビジョンを打ち出しているか理解の深度が増し、私自身のアクションも変わってきています。
日本の製造業を復活させるキーパーソンとは
CTOの資質とは何か、どのようなCTOが求められているか。こうしたテーマを掲げ、指導教員のもとグラデュエーションペーパー(GP)の作成に取り組んでいます。現在は識者や経験者にヒアリングを行っているところですが、対象が人であることや、ばらつきの要因が多数あることが、この研究の難しい点であり、楽しいところです。ヒアリングを繰り返していくうちに明らかになったのは、CTOについて一番研究しているのはCTO自身ということ。その真摯な姿勢や悩みの深さを垣間見て、日本の製造業を復活させる鍵はやはりCTOの存在にあることを確信しました。
本学に通って常々感じるのは、「MOTに答えはあるが答えはない」ということ。すなわち、ビジネスそれぞれのケースにおいて導き出された「特別解」しかなく、万能薬のような「一般解」はないということです。そして、特別解を未来にどう活かすかは、自分次第に違いありません。修了後はこれからのモノづくりの在り方を技術と経営の両視点から提案するとともに、本学の学びを後進に伝え、自社だけでなく日本の製造業の発展に貢献したいと思います。