2025.12.18 公開授業

【公開授業の開催報告】2025年11月22日(土)に基盤科目『ファイナンスと企業統治』第1回「ファイナンスと企業統治に関わる基礎概念」 ~企業価値向上のOS~ の授業が公開されました。

理科大MOTでは、2026年4月の春入学者向けの入試(入試情報※1)に向けて、入学をご検討頂いている方々向けに現在公開授業を行っています。去る11月22日には、「ファイナンスと企業統治」の第1回授業が対面とオンライン併用で公開されました。

本科目は、ファイナンスと企業統治に関する専門的知識・実務等について学び、課題解決に向けた実践力を身につける事を目的としています。資本市場が求める経営成果をファイナンスの観点から理解し、なぜ経営が株主を向かないといけないのかを企業統治の観点から学びます。

担当する青木教授(※2)は、米国、国内で証券アナリスト業務に従事した経歴を持ち、プライム企業の社外取締役(取締役会議長)にも就任しています。

公開された2時間目の授業は、“経営者と株主”の関係性の説明から始まりました。所有と経営が分離した場合、株主は取締役に経営監督を委任し、経営者は株主から経営執行を委任され「企業価値向上」の責任を負うという前提を説明した後、経営者と株主との利害の対立、その解決策として経営者の監督を行う株主ガバナンス代行としての外部取締役が中心となる取締役会設置の必要性等について解説しました。
日本における企業統治(コーポレート・ガバナンス)の実態について受講生から幾つかの質問がありました。青木教授はご自身が取締役に就任している企業でコーポレート・ガバナンスがいかに機能しているかという事も含め、幾つかの例を丁寧に解説していました。さらに、米国ではフルタイムで勤務し、社内の情報にアクセスが可能で、経営分析するスタッフを持つ社外取締役の必要性(取締役会3.0)が検討されはじめている事や、戦略の立案と実行についても社外取締役への期待が高まっている点を指摘していました。

1回目の授業のまとめとして、本講座で取り扱うファイナンス(思考)とは、財務戦略上の資金調達や投資判断に加え、戦略的な視点で経営を捉え、長期的に企業価値を向上させていく経営の考え方である点が確認されました。またコーポレート・ガバナンスとは、経営者が株主を向いた経営をする条件を探求する研究領域であり、このファイナンスと企業統治が企業価値を高める経営のOS(オペレーションシステム)の両輪である点が指摘されました。経営者はこのOSをインストールしなければならないと述べ、この講義の必要性が強調され授業を終えました。

理科大MOTの授業は、技術経営をめぐる基礎的な理論をその成り立ちや現代的意義も含めて教員がわかりやすく説明し、ゲストスピーカーの講義も交え、受講生の理解を深めていく点も一つの特徴となっています。本MOTに関心がある社会人の方は、ぜひ一度、公開授業を聴講していただければと思います。公開授業はMOTホームページでご案内しております。

理科大MOTホームページ;https://most.tus.ac.jp/  
※1 入試情報;https://most.tus.ac.jp/entranceexamination/ 
※2 青木英彦教授;https://most.tus.ac.jp/facuity/hidehikoaoki/