

2025年3月修了星野 嘉秀
コニカミノルタ株式会社
IR室 マネジャー
本質を問い続ける。変化を生み出すための起点となるために
壁の向こうの相手と語り合う体験
日々IR業務に取り組む中で、「企業の情報開示がどのように価値向上に貢献しているのか、もう一段深く理解したい」という思いが芽生え、本学MOTの門戸を叩きました。研究開発で長くキャリアを積んだ私にとって、投資家やアナリストと対話するため必要な素養を身に付けることもまた、重要な課題の一つでした。
本学で過ごした2年間、マネジメント理論を“自分事”に置き換えていく分析手法や、個人の暗黙知を組織の形式知に変えていくプロセスを学ぶなど、刺激的な体験を数えれば枚挙にいとまがありません。中でも強く印象に残っているのが異業種・異職種の人たちとの出会いです。とりわけ、普段の業務では本音がつかめなかった、投資家をはじめとする金融業界の方々と率直に語り合えたことは、常識が揺さぶられるような鮮烈な経験でした。皆さんが、短期利益ばかりを重んじるのではなく、日本産業界を支えるために本気で汗をかかれていることを知り、大きな勇気をもらいました。
戦略と現場のギャップに光を当てる
グラデュエーションペーパー(GP)では、当初IR業務そのものに焦点を当てようとしていたのですが、ヒアリングを重ねるうちに、より本質的な課題が「技術戦略」にあるのではと感じるようになりました。IRの中で掲げられた技術戦略と、実務にあたる技術者たちとの間には小さくないギャップがある─この“ズレ”を直視することが研究の端緒となったのです。
改めて技術戦略を定義し、自社プロジェクトや事業に当てはめて考えていくことで多くの発見や気づきがあり、結果として苦しくも楽しくGPを仕上げることができました。またそのプロセスを通じて論理を整理する能力、論理を具体的事象に当てはめて分析をする能力、さらにそれらを俯瞰して見る能力などが身に付いたのは大きな収穫です。現在は書き上げたGPを実践すべく、さまざまな関係者と対話を重ねている最中です。本学MOTで鍛えられた知恵と心を活かし、自社変革の一歩に寄与できればと考えています。