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平成25年度第3回MOTイブニングセミナー「イノベーションを促進する組織・人材づくり」を開催(7/17開催報告)

2013/07/25掲載

平成25年7月17日(水)、神楽坂校舎PORTA神楽坂にて、平成25年度第3回MOTイブニングセミナーを開催しました。講師はMOT専攻の佐々木圭吾教授、テーマは「イノベーションを促進する組織・人材づくり」でした。

佐々木教授の専門分野は「経営組織」と「ナレッジマネジメント」で、今回は、「イノベーションを促進するにはどうすればよいか」という企業が抱える普遍的なテーマについて、「組織・人材づくり」という観点から、講演を行いました。

佐々木教授はまず、イノベーションに携わる業務とイノベーションを生み出す人材の特徴について説明しました。そして、そのような人材を生かしイノベーションを推進するためには、現在、組織上、何が阻害要因となっているのか、さらに、日本企業が今後、どのような組織を形成していけばイノベーションを促進できるかについて言及し、講演を終えました。



【イノベーションの特徴とイノベーションを生み出す人材とは】
講演の冒頭で佐々木教授は、イノベーションに携わる業務の特徴として、新しい技術や知識に結実する「知識労働であること」と、いつ何が出てくるか分からないなど「極めて不確実性が高い活動であること」の2点を挙げました。

その上で、イノベーションを生み出す人材像として、1点目に対しては、自発的に面白い仕事を立ち上げたり、目標の達成に向けて邁進していくなど「自律性と主体性を持った人材」を、2点目に対しては、ベターな選択肢に賭ける勇気など「精神的なタフネスを持った人材」を挙げました。

前者の「自律性と主体性を持った人材」に関しては、以前から、組織がイノベーション人材の自律性と主体性を阻害しているという議論がされてきたものの、実際には、18〜19世紀に起こった英国の産業革命によって発明された官僚制組織がイノベーションの促進を後押ししてきた、としました。

そして、官僚制組織という「鉄の檻」が、自分を閉じ込める檻ではなく、自分を外部の危険から守ってくれる檻である限り、人間が最も望んでいるのは、「鉄の檻の中の自由」であるとし、組織が人材の自律性と主体性を阻害しているのであれば、それは組織のデザインに問題があるのだと説明しました。

また、米国でイノベーションを起こし続けている代表的な企業を基に、個人の主体性を尊重する組織とは、事業に対するミッションやビジョンが明確で、自律的なネットワークとナレッジマネジメントに基づくフラットな組織であること、そして、超優秀な人材を世界中から獲得して、徹底した短期的成果主義であること、さらに、人材教育は本人による自己研さんであることとしました。

一方、後者の「精神的なタフネスを持った人材」に関しては、極めて不確実性の高い活動への対処力という観点から、組織として、「修羅場をくぐり抜ける」という経験をさせることで、胆力や決断力を養成させることが重要であるとしました。とはいえ、本当の修羅場は、一部の成功者と多くのメンタル問題しか生み出さないため、「演出された修羅場」のような、あくまでも人材育成を目的とした鍛錬の場にとどめるべきであるとも述べました。

これらを踏まえた上で、日本企業のイノベーション力の低下の原因として、人材の自律性と主体性の低下や組織の硬直化に伴う「知識創造力の喪失」、また、演出された修羅場の喪失、職場の仲間意識や思いやりの減少に伴う「メンタルタフネスの欠落」を挙げました。



【日本企業がイノベーションを促進するための組織の在り方とは】
こういった日本企業の現状に対して、佐々木教授は、「社会的労働市場が発達した米国では、成果主義の下、超優秀な人材を世界中から獲得してくるヒューマンリソースマネコメント(HRM)が可能だが、内部労働市場が発達した日本の場合、自社で人材を育成するヒューマンリソースデベロップメント(HRD)という方法を取らない限り、国際競争には勝てない」とし、日本企業の人材育成の重要性を強調しました。

そして、イノベーション人材を育成し、イノベーションを促進する組織の在り方として、組織のリーダーには人間的な魅力と、理念や価値観によって組織を束ねることが求められており、それにより組織のメンバーのモチベーションが向上するとしました。

また、硬直化する組織に対しては、組織間の壁を取り除く方法として、ジョブ・ローテーションの推進を強調しました。加えて、ジョブ・ローテーションはメンタルタフネスの養成にも寄与するものであり、組織を構成するメンバーの専門性の深化にもプラスに働くとしました。

さらに、メンバー全員がリスクを恐れず、高いモチベーションをもってイキイキとイノベーション業務に携わるには、組織は各メンバーの挑戦を促進する「支え」として機能すべきだとして、講演を終えました。

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