MIPで何を目指すか?

ホーム > MIPで何を目指すか? > 教員プロフィール > 専攻主任からメッセージ/教員クローズアップ > 淺見 節子

教員クローズアップ

知財への深い知見を身につけ、グローバルに活躍できる人材の育成を目指す

淺見 節子 教授

淺見 節子 教授

特許庁での30年の経験を活かし、現在進行形の実務に通用する人材を育成

1990年代後半以降、「大競争時代」と言われる本格的な企業間競争が活発化し、知識や技術の結晶である知的財産権の分野においても、グローバルに権利取得を行う流れが加速しました。きっかけとなった、TRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)の発効にともない、日本も法改正を行うとともに、日米欧に中国と韓国を加えた世界5極でルールを決める時代に突入しました。

特許庁で長らく知財に携わってきた私のキャリアは、日本企業が強固な技術力を誇った80年代にスタートし、大競争時代においては新たな世界ルールの策定を行う作業へと変遷。専門である化学分野を軸にしながら、一貫して審査・審判の実務とルール策定を行ってきました。経済産業省・特許庁のシンクタンクである知的財産研究所での部長職、一橋大学国際企業戦略研究科の助教授職への出向では、企業経営層と共同研究を行い、知的財産と経営戦略の関係にも造詣を深めながら、帰任後は、知財大国としての日本の将来に関わる国家戦略の骨子となるビジョンを策定。特許庁退官後も、ASEANで唯一知財制度が存在しないミャンマーの知財制度整備支援チームに参加しています。本学では、現場で積み上げてきた経験を活かし、実社会で通用する高度専門人材としての知財プロフェッショナルを育成、支援していきたいと考えています。

日進月歩の技術を追いかけ、集中して文献を調べる粘り強さが求められる

化学特許特論では、医薬、ポリマー、食品、電池など化学分野のさまざまな事例や判決を詳細に検討し、特許法や特許実務の理解を深めます。具体的には、特許明細書の記載要件、新規性・進歩性などの特許要件、特許庁の手続、化学分野特有の問題(特許権の存続期間の延長など)を取り上げ、わかりやすくかつ権利行使に強い特許明細書を作成する知識と能力を養成します。

特許の審査・審判を行うためには、つねに新しくなり続ける技術への知見を自分自身で更新する作業が要求されます。社会との関わりを考えながら、発明の内容が特許を与えるに値するかどうか、また研究結果が適性かつ普遍的な再現性があるかどうかなど、研究者とは違う立場で評価を下すからには、徹底して文献を調べ、高い集中力を持って業務に携わる必要があります。出願を行う側であったとしても同様の知識や技術が求められますから、早くに自分の技術的な専門分野を見極め、その知見を軸としながら事例や判決を学び、高い柔軟性を身につけてほしいと考えています。また、現実的な解釈と判断の繰り返しには、強い根気も必要になることでしょう。

地域や時代に合わせたルール整備と柔軟な運用が求められている

知財全般に求められる素養は広範囲にわたるため、まずは全体の仕組みを理解する必要があります。私たちの社会が、どのような過程で成立し、また維持されているか。世界がどのようなルールで運営され、また、どこでそれは更新されているのかなどを学んでいく。条約について学ぶのは、その知識を得ることを意味します。そして、そのルールが、なぜ生まれたのかといった背景にまで視野を広げ、その仕組みが現代にあったものなのかを考える。世界のルール、日本のルールと、ひとつひとつ学んでいきます。そして、学ぶ項目のつながりが理解できるようになる中で、自分の専門を深めていく。実務においては、現実の問題を解いていくわけですから、到底ひとりではできません。自分の専門にプラスして、それぞれの専門家の能力を集めながら、総合力を生み出し、最適解を見つけるのが、複雑かつグローバル化した時代への対処法ではないでしょうか。

先進国を中心にルールが整備されてきた知財の分野も、いまは途上国のルールを整備する時代へと進化を続けています。しかし、例えば医薬の特許一つとっても問題は複雑です。先進国の企業としては、莫大な投資を行い10年かけて新薬を開発した。当然、特許で守って投資を回収したいということになりますが、処方されるのは途上国が多く、そちらとしてはコストがかからないほうがいいと。生命倫理の問題もからんできます。それをどう解決していくか、といった新しい知恵が求められています。また、途上国に蔓延る模造品の問題では、進出したグローバル企業を守るだけではなく、消費者保護の観点から不良品を排除するといった視点での思考も必須です。地域や時代が変われば公正性のポイントも変化します。知財法が毎年のように改正される背景には、それぞれの国の環境や政策と密接に関係しているからです。そういった今日的な問題への関心や感度の高い人材は、今後ますます必要とされることでしょう。

集中力、好奇心、責任感。

東京理科大学のMIP専攻は、知財にフォーカスしている点において、日本で最も専門家が集まっている場ではないでしょうか。授業科目の範囲も広く、また社会人から学生まで、院生のバックグラウンドも豊かだと感じています。就職や進路への準備も充実していますが、経営者や研究者の方々にも、もっと多く入学していただき、より広い視野で知財の問題を議論していきたいと考えています。若い学部卒者の視点と責任感の強い社会人とのコラボレーションは、これからも知財の魅力を高めていくことでしょう。

TOPIC

『アメリカの最高裁判例を読む─ 21世紀の知財・ビジネス判例評釈集 ─』
米国の知財に関する最高裁判例をまとめた評釈集において、「発明の非自明性についての判断基準」と「医薬品の試験のためにする他人の特許発明の実施が侵害行為とならない場合」について評釈を行った。

↑ページのトップへ戻る