MIPで何を目指すか?

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専攻主任からメッセージ

戦略的知財ビジネスモデルの構築と、その任に耐えうる人材を育成

荻野 誠 教授

荻野 誠 教授

世界をリードするIPの拠点として発展を続けていくMIP専攻

政府が「知的財産立国」の大綱を策定してから10年が経過し、また、東京理科大学のMIP専攻も創立10周年という節目を迎えました。この間、実務経験豊富な教員を多数擁した、日本の知財界をリードする専門教育機関として、社会人から学部新卒生までの幅広い学生へ知財教育を行い、多くのプロフェッショナル人材を知財界に輩出してきました。しかし、知財を巡る環境は、さらなるグローバル化の進展に伴い、新たな局面を迎えていると感じています。社会の変化や技術トレンドの変化に対応できるよう、カリキュラムや教育体系をつねに刷新していくことはもちろんですが、正規の授業以外でもMIPでは様々な取り組みを行っています。

例えば、本年2月には、「東京理科大学IPフォーラム2015ー 変化する知財の世界と将来への戦略」と題し、世界知的財産機関(WIPO)のフランシス・ガリ事務局長による「東京理科大学名誉博士号記念特別講演」と、知財界での世界の第一人者による「第2回東京理科大学MIP 国際IPセミナー」との二部構成で、大規模な国際IPシンポジウムを開催しました。特別講演では、ガリ事務局長に「世界における知財の重要性および将来」についてご講演いただくとともに、国際IPセミナーでは、Randall Rader連邦巡回区控訴裁判所前主席判事、Sir Robin Jacobロンドン大学教授、設樂隆一知的財産高等裁判所長を基調講演者としてお迎えし、また、米国、ドイツの知財弁護士の方々に加え、日立製作所の鈴木崇知的財産本部長、ソニーの守屋文彦知的財産センター長、ナノキャリアの中冨一郎代表取締役社長の諸氏に登壇いただいて、「変化する知財の世界と将来への戦略」についてご講演いただきました。

これからの知財人材にとって主戦場は世界です。グローバル知財人材として世界で戦っていく力をつけるためには、つねに世界最先端の生の情報に触れ、世界の最高峰の人たちから直接学ぶことが必要です。今後も、世界の知財最前線で起きていることを、授業やその他の企画へとフィードバックし続けていきたいと考えています。

知財戦略と経営戦略の融合。競争優位を獲得していくために知財を活用する

私自身、授業では「知財契約実務」や「知財訴訟と紛争処理実務」など、専門実務系の講義を担当しています。しかし、これらの授業の中でも、エレクトロニクス業界での自身の経験をもとに、日本企業がグローバルに戦い続けていくためには何が必要かなど、学生たちが経営的視点でも考えられるようつねに配慮しています。

多くの日本企業の知財戦略は、80年代米国のいわゆるプロパテント戦略を倣ったものです。しかし、どちらかと言うと、特許の取り方や訴訟のやり方といった、米国流の法律・知財技法の習得の方に熱心で、知財を経営資源としてどう事業・経営に生かしていくかという方の習得は十分ではなかったのではないかと思っています。このことが、技術と知財はあるが市場で勝てない今の日本企業の苦境の原因の一つと私は考えています。

一方、米国では、知財戦略と経営戦略を融合させた次の時代の戦略的知財ビジネスモデルを構築することに成功した企業がつぎつぎ現れ、グローバル市場を席巻しています。韓国企業や中国企業の躍進の中、アップルやインテル、サンディスクといった米国企業が市場で存在感を維持しているという事実は、単にモノつくりの優越さや価格だけではグローバル市場では勝てないこと、知財戦略と経営戦略の融合がいかに大切かを雄弁に語っています。

このように知財戦略は、将来を見据えた経営戦略と密接に結びつかなければ意味がありません。知財の学習は知財だけを見ていては不十分なのです。事業経営や世界の技術、マーケットの動向などを理解しながら、新しい戦略を組み立てていけるような人材、新しい知財戦略家を育成する授業を行っていきたいと考えています。

ツールだとしても英語は大切。2年間で英語が強くなるだけでもいい

では、将来の知財戦略、経営戦略を考えていくためには何が必要でしょうか。当然、専門領域である知財法の基礎をしっかり学ぶ必要があります。企業経営や世界の市場動向についても理解を深める必要があるでしょう。ただ、同時に、ぜひ英語も勉強してもらいたいと思っています。何だ、英語?と思われたでしょうか。英語は単なるツールであることは事実です。しかし、欧米はもちろん、成長を続けるアジアにおいてもビジネスや知財の交渉はすべて英語で行われています。英語によるコミュニケーション力はグローバル時代の今日、必須の基礎教養であり、知財専門職に就くなら絶対必要条件です。MIP専攻では、「Introduction to ComparativeLaw」のように、外国人の先生が英語で講義する授業科目を用意しています。また、アジアからの学生と共に知財を英語で学ぶサマースクールや、韓国の知財大学院の学生との共同シンポジウムなどに参加する機会もあります。将来的には欧米の知財大学院へ短期留学する機会も作りたいと思っています。色々な学習機会がありますので、大学院の2年間で英語のレベルは必ずアップさせてほしいですね。

グローバルな新世代の知財戦略家を育成。若い力に期待している

日本を代表する知財専門職大学院として、今後も経験業務の内容や専門分野を問わず多様な人材を受け入れ、知財のプロを育てていきます。しかし、やはり、次の時代を担う人材を育成するのが、いちばん大切な役目であると感じています。志を高く持って学びたい、日本をリードしていきたいと考える若い力に期待しています。

TOPIC

東京理科大学IPフォーラム2015
東京理科大学専門職大学院 知的財産戦略専攻(MIP)は、世界知的所有権機関(WIPO)のDR.Francis Gurry事務局長を始めとする世界的レベルの知財専門家を集めた大規模な国際IPシンポジウム「東京理科大学IPフォーラム2015」を開催した。

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