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『今や知的財産だ!』の著者の金明信氏〜韓国の知財改革の推進者〜

2012/07/20掲載

『今や知的財産だ!』の著者の金明信氏
〜韓国の知財改革の推進者〜

2012年7月17日
生越由美(東京理科大学MIP教授)

知財制度の現状と課題
 MIPでは今年度から「知財制度の現状と課題」の講義を新設した。この講義では日本の知財制度の現状と課題を踏まえ、未来に向けた知財改革の提案や方向性などを院生たちと議論している。この講義を担当して改めて痛感させられたのが、韓国の知財制度が大きく進化している点である。従来は日米欧の3つの知財制度を比較するレポートがほとんどであったが、今年は日米欧に韓国を加えた4つの知財制度を比較するレポートが大半となった。

韓国の知財制度が進化した理由
 理由は、韓国政府が特許制度や意匠制度や商標制度が、世界各地の知財制度の見習うべき点を迅速に法改正して取り込んだためである。このため、欧米の次に韓国が知財制度の先進国となってしまったといえる。卑近な例では、「音の商標」が挙げられる。ようやく日本でも今年度の商標法改正の対象となったが、欧米ではかなり以前から、韓国でも既に保護対象となっている。院生たちのレポートは、韓国と比較して日本のどこが遅れているか、日本の制度をどのように改革すれば欧米韓を抜くことができるかが提言されている。

立役者は金明信氏
 韓国の知財制度を先進的にした立役者は誰か。調査してみると立役者の一人と言えるのが金明信氏と判明した。金氏は1969年に弁理士試験に合格し、1972年に開業し、40年以上の間、知的財産の世界で活躍してきた。この金氏は知的財産に関する数多くの事件を取り扱いながら、韓国知的財産権学会の副会長を皮切りに、大韓弁理士会会長、韓国知的財産権学会会長、アジア弁理士協会会長及、国際ライオンズ協会354(韓国)複合地区議長を歴任し、現在は国家知識財産委員会委員としても活動している。

金氏は、宋相現氏(国際刑事裁判所所長)と共に、機会ある毎に、政府と社会に知的財産の重要性を説明した。2005年には、韓国の国会が許可した「社団法人 知識財産フォーラム」という団体をつくり、知識財産基本法の制定のために多大な努力した。この結果、2011年7月20日から韓国にも知識財産基本法(注:「知的財産」という用語が「知識財産」に統一された)が施行されたという。

韓国の『知識財産基本法』の和訳(全19頁)
http://most.tus.ac.jp/common/mod_nec/files/99110522bc4723.pdf

韓国の『知識財産基本法施行令』の和訳(全12頁)
http://most.tus.ac.jp/common/mod_nec/files/efe75c8a56c497.pdf
『今や知的財産だ!』
金氏は2011年11月に「知的財産こそまさに国家競争力」であり、「知的財産のみが未来に生き残る」という考えに至って、『今や知的財産だ!〜不動産・株よりアイデアで勝負せよ!〜』を上梓した。この本は韓国で大きな話題になった。
今回、金氏の特別な御好意により日本語に翻訳され、無料でダウンロードしても良いという許可を戴いたので御紹介する。是非、この機会に『今や知的財産だ!』を読んで戴きたい。

『今や知的財産だ!』の和訳(全247頁)
http://most.tus.ac.jp/common/mod_nec/files/d779923da2ad7e.pdf

韓国企業が元気な理由
韓国企業の戦略やスピード感だけではない。韓国の民間団体がイノベーションを加速化する知財戦略を韓国政府に大胆に迫っているためである。民間人の危機意識が国家を動かした。そして、韓国国家と企業はスピード感のある対応をしたのである。
 今、アジアにおける知財の勝ち組と考えられていた日本の知財政策が遅れ始めている。危機感をもっている民間団体がもっと日本政府を突き上げる必要性があるのではないか。知財の世界で有名な『パルミサーノ・レポート』も民間団体がアメリカという国家に向けて起草したものだ。日本の民間団体も立ち上がる時がきたのではないか。
身近な良きライバルを得て、日本の知財制度の改革を加速化する契機とすべきではないか。日本の未来のために、一緒に知財を勉強しませんか?

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