MOT72025
コンセプトイノベーション領域:コンセプトイノベーション特論A
本橋 健
1・2年次 選択2単位 前期(前半) 土曜日 1-2時限

【授業の概要・目的・到達目標】

概要:インターネットやクラウドコンピューティング、光ファイバ、無線などに代表される技術革新をベースとした情報通信イノベーションの出現により、情報通信サービス産業の拡大がめざましい。本講義ではこれらの情報通信サービスにおける主要なイノベーション・仕組みと産業へのインパクトを概説する。また、これらのイノベーション・仕組みが今後の情報通信サービス及び他の事業領域や社会に与える変化と戦略を議論する。 本講義では、技術とビジネスを結ぶイノベーションについて概説するため、数学・物理学・工学や経営学・経済学の基礎知識を含むものとなるが、それらの知識がなくても理解できるようその効果をベースに解説を行う。

目的:情報通信イノベーションの源泉と情報経済の原理から効果を理解することにより、情報通信サービスを生業とするかたには自らの判断や戦略をより効果的に立案実行できるようになること、および情報通信サービスを享受する立場においては自己の業務や自社事業において情報通信サービスが与える影響をより把握できるようにすること。

到達目標:情報通信イノベーションの基礎及び情報経済の原理を知識として理解するとともに、代表的な情報通信サービス企業の強み・戦略を理解する。また今後の情報通信サービスの変化とその影響議論することで、将来に備えた戦略検討手法を理解する。

【評価】
授業中の議論への参加と貢献 50%(ただし、授業の出席が1/2未満の履修者は、評価する対象としない)
課題提出(中間発表および講義終了後の最終レポートA4で5枚以内) 50% (ただし、最終レポートを提出しない履修者は、評価する対象としない)

<基準>
S評価:到達目標をとくに十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている。
A評価:到達目標をとくに十分に達成している。
B評価:到達目標を十分に達成している。
C評価:到達目標を最低限達成している。
D評価:到達目標を達成していない。

以上の割合・基準にて、評価をします。

【履修にあたっての注意】
各講義の前半90分は講義主体で知識を提供する。後半90分は講義の内容に関連したテーマに基づき討論主体とする。積極的に発言し、与えられた課題への見解・ソリューションを出すこと。テーマについて事前に調査検討し、発表をしてもらう場合もある。後半90分の枠を使い、中間発表を行ってもらう。なお、討論のテーマは講義中に変更になる場合がある、もしくはゲストスピーカー講演になる場合がある。

【準備学習・復習】(準備学習と復習に必要な時間は1科目あたり合計45時間程度が目安)
授業の前にWebシステムにて教材を配信するが、授業内でも議論するため、一部は授業後に配信する。議論に向けた予習として参考書の通読や市場調査が必須である。また、課題レポートに向けて授業で学んだ内容をより深く復習することが必須である。

【教科書】
なし(Web等で予習教材を配布)

【参考書】
副読本としてカール・シャピロ「『ネットワーク経済』の法則」を指定する。それ以外は配布する教材に詳細を記載するが、主なものは、クレイトン・クリステンセン「イノベーションのジレンマ」、マイケル・クスマノ「ソフトウエア企業の競争戦略」、アナベル・ガワー「プラットフォーム・リーダーシップ」など。

【授業計画】
前期(前半)
項目
講義内容
1 講義:講義概要 最初に本講義の目指すものと得られる知見、講義形式について説明する。
2 講義:情報通信サービスの歴史 日本のインターネットサービスを中心に、情報通信サービスの歴史とイノベーションが与えた影響を概説する。(この回のみ前半・後半とも講義)。なお、ミニ討論として、インターネットが生活に与えた影響を議論する。
3 講義:「インターネット」というイノベーションの3つの要素と情報通信インフラの進歩 情報通信サービスのイノベーションの基礎となる「インターネット」というイノベーションの3つの要素を概説する。具体的には、半導体・通信回線の技術革新によるコンピュータとネットワークの高速・低価格化、インターネットのアーキテクチャが持つ広がりの力とイノベーションのジレンマの視点とネットワーク外部性、通信自由化によるイノベーションの機会と垂直統合から水平分業によるイノベーション創出と新たな事業主体の台頭。
4 討論:テーマ1:将来の情報通信サービスビジョン 討論テーマとして、5〜10年後の将来に起きうるサービス・プロダクトを検討し、その技術的・ビジネス的な可能性、リスクや新たな課題を議論する。
5 講義:情報通信サービスの優位性の3つの要素:クラウド、ソフトウェア、プラットフォーム インターネットの進歩・普及により、情報通信サービスの提供が格段に容易になることで、多くのサービスが創出されている。その源泉として3つの優位性による情報通信サービス企業のサービス普及アプローチを理解する。具体的には、コンピュータとネットワークの劇的な性能向上によるクラウドコンピューティング/サービスの出現(所有から利用へ)、また、ソフトウェアやクラウドサービスの性質によるアカウンティングの観点でのメリット、さらに、顧客基盤の獲得とサービス多様化(補完製品の獲得)という観点でのプラットフォーム戦略。プラットフォーム戦略の一例としてスマートフォンOSの状況についても触れる。
6 討論:テーマ2:通信事業者のサービスの競争(予定) 討論テーマとして、通信事業者の将来を議論する。いわゆるインフラ事業の可能性と、サービス事業者(上位レイヤビジネス)の台頭との関係を鑑みて、通信事業者の取りうる戦略、向かうべきイノベーションの方向性を議論する。
7 講義:「データ」と端末の活用によるサービスの進化:ログ分析とビッグデータ、人工知能(AI)、IoT(Internet of Things) 情報通信サービスの大きな利点のひとつとして「データ」収集がある。利用者の振る舞い等をログとして集めて分析することで、使い勝手の向上や顧客一人一人に合わせたきめ細かなサービスが出来るようになる。A/Bテストやパーソナライゼーションなど具体的な手法、また事例としてECサイトやインターネット広告を紹介する。
また、非常に多くのデータが集められるようになり、かつクラウドの台頭により、新しい価値の発見が出来るようになる「ビッグデータ」や、スマートフォンのみならず無線端末の増加によるリアルとバーチャルの融合が進む中でInternet of ThingsやCyber Physical Systemなどの新たな情報通信イノベーションの可能性を理解する。
8 討論:テーマ3:ビッグデータとInternet of Thingsによる将来(予定) 討論テーマとして、ビッグデータへの取り組みと、あらゆるものがインターネットにつながるInternet of Thingsの時代におけるサービスの可能性と課題を議論する。
9 講義:コミュニケーションとコラボレーションの進化 電話などに代表される直接的通信を前提としたコミュニケーションサービスから、ソーシャルネットワークサービス(SNS)、オークション、オープンソース開発などのコミュニティ的なサービスが容易に出来るようになったことにより、コミュニケーションスタイルの変化を理解する。
また、世界と容易に低コストにコラボレーションできることによる、クラウドソーシング、クラウドファンディングやシェアリングエコノミー、Hyper-Specializaiton(超分業)などの新しい協業の形態の創出を理解する。
10 討論:テーマ4:インターネットを介したコラボレーションの台頭による変化と将来(予定) 共同開発やクラウドソーシングによる新たな協業の形態の出現を既存の企業の業務や製品開発にどのように取り込んでいくか、また、コラボレーションの進化により、雇用や経済への影響がどのように変化するかを議論する。
11 講義:「無線通信」の価値と技術戦略 情報通信サービスの利用環境を拡大した無線通信について、携帯電話を例にとり技術戦略を概説する。具体的には、無線周波数帯の希少性の理由とその価値を理解する。
また、技術戦略としての標準化やロックイン、特許の扱いについて、携帯電話の方式の変遷から理解する。
12 討論:中間発表その1 最終レポートに向けた中間発表を2回に分けて行う。
13 講義:将来ビジョンと情報通信イノベーションの課題 情報通信サービスの将来を見据えた戦略を考える上で、ビジョン構築によるイノベーション戦略策定の手法を述べる。それに合わせて、将来を見据えた際の具体的な基礎研究テーマに触れる。
また、情報通信イノベーションの創出において、起こりうる課題を概説し、一例として安全性・安定性を担保するセキュリティ・プライバシーについて述べる。
14 討論:中間発表その2 最終レポートに向けた中間発表を2回に分けて行う。
15 講義:技術・イノベーションとアントレプレナーシップ 新しい技術やイノベーションを創出するためのプロセスとしてのアントレプレナーシップ(起業家精神)について、基本的な視点や姿勢を概説し、イノベーション創出への道しるべとする。
(この回のみ前半90分のみ)
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【備考】