MOT76008
イノベーションフィールド領域:グローバル技術経営論
岸本 太一
1・2年次 選択2単位 前期 木曜日 6時限/後期(後半) 土曜日 1-2時限

【授業の概要・目的・到達目標】

概要:近年、日本企業の海外展開は、アジア各国への進出を中心に、ますます活発化している。地方の中小企業でさえ、国際経営は必須の課題の一つになりつつあり、日本国内の活動に関しても、グローバルを意識しながら意思決定を行う必要性が高まっている。
 本講義では、技術および開発能力の活用・移転・蓄積に主に焦点を当て、国際経営に関する主要なテーマを取り扱っていく。それぞれのテーマに関して、理論のたたき台(=事前に指定した教科書や論文、講師が作成したプリント)を基に、企業の事例を分析することで、成功パターンを探求していく。
 各テーマで使用する理論のたたき台は、日系企業、大企業、新興国を対象にしたものが多い。第12回以降の講義では、それまでの講義で蓄積した内容との比較という形で、欧米企業の海外展開、中小企業の海外展開、先進国への進出についても、考えていく。
 事例分析については、こちらが用意したケースを分析してもらうタイプと、受講生自身が企業を選択し、調査をし、調査した情報を分析してもらうタイプ(=独自事例分析)の二つを考えている。どちらも、担当者に事前に分析してきてもらい、分析結果を小レポートにまとめてきてもらう。講義では、そのレポートを基に議論を行っていく。

目的:国際技術経営に関する全体像および主要なテーマについての基礎的な理解を深く持てるようになること。

到達目標:実務において国際技術経営に関連する問題に直面した際に、あるいは、自社および他社の事例にて国際技術経営に関連するトピックに関心を持った際に、筋のよい導入的考察を行うことができるようになる。国際技術経営を深く洞察するために有用なフレームワーク、概念、基礎論理を習得する。

【評価】
最終レポート 30%、授業中の小レポート40%、授業での議論への参加・貢献30%

<基準>
S評価:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている。
A評価:到達目標を十分に達成している。
B評価:到達目標を達成している。
C評価:到達目標を最低限達成している。
D評価:到達目標を達成していない。

以上の割合・基準にて、評価する。

【履修にあたっての注意】
講義は、準備学習を前提とした議論中心となる。指定された準備学習を行わずに参加しても意味はないので、必ずきちんと予習をし、講義に臨んでもらいたい。 
なお、前期と後期では、講義の内容は基本的に同じだが、事前課題が少し異なる。具体的には、後期後半(土曜日)は7.5回となるので、理論リーディングに関して、講師が作成した要約プリントを多用する。

【準備学習・復習】(準備学習と復習に必要な時間は1科目あたり合計45時間程度が目安)
以下の三種類の準備学習がある。
 〇前リーディング。教科書や雑誌記事等の指定された箇所を読んでくる。理論リーディングとケースリーディング(独自事例分析の回は、自らケースを収集)の二種類のリーディングがある。
◆‐レポートの作成。与えられたケースおよび独自事例を、理論リーディングの内容を活用しながら分析をし、その結果をレポートにまとめてくる。(与えられたケースではA4で1枚程度、独自事例では、事例紹介に1枚、分析に1枚の計2枚程度)
 疑問メモの作成。理論リーディングの内容に関して、理解できなかった部分を、質問の形で、箇条書きでまとめてくる。(A4で1枚程度)
 ,砲弔い討蓮∨莢麁鷦鑪爐離蝓璽妊ングがある。各回の事前リーディングを詳しく記載したリストは、第1回に配布する。△砲弔い討蓮∩苅隠飢鵑里Δ腺〜5回程度担当してもらう。どの回に担当してもらうかについては、第1回の講義にて受講生の要望を最大限配慮し、決定する。については、小レポートの担当ではない回に提出してもらう。
 第1回にも、全員に提出してもらう事前課題がある。この点については、MOTホームページ学生・教員向けサイトの講義資料一覧の部分に「第1回事前課題について」というプリントをアップするので、そちらを参照し、作成してきてもらいたい。
 復習としては、クラスで配布されたプリントや資料、学生が作成した小レポートや疑問メモを読み返すとよい。

【教科書】
伊丹敬之編著『日本型ビジネスモデルの中国展開』 有斐閣
以上の他に、他の教科書の一部の章や論文、雑誌記事、講師が作成したプリント等を多数使用する。
その他の教材についての入手方法については、第1回の講義にて詳しく説明する。
特定の教科書を使用しない最大の原因は、日本企業と欧米企業の海外展開の原理には相違点が存在する可能性があるにもかかわらず、国際経営の分野には日本企業の実態観察を基に理論構築をした体系的な教科書が、講師の知る限り存在しない点にある。既存の国際経営に関する教科書は、欧米の研究論文の体系的なレビューを基に作成されたものが主流である。欧米の研究は、当然のことながら、欧米企業の実態観察を基に作成されている。

【参考書】
岸本太一・粂野博行編著『中小企業の空洞化適応』 同友館
その他の参考書については、講義にて随時紹介する。

【授業計画】
前期
項目
講義内容
1 国際経営のベースとなるコア技術
(およびオリエンテーション)
何が国際経営で成功するためのコア技術か?
コア技術はどのような論理で成功につながるか?
【ケース】 独自事例分析
2 国際化の合理的動機と進出国の選択 企業はどのような動機で国際化するのか?
その動機で進出して本当によいのか?
【ケース】 キッコーマン
3 狙う顧客層と差別化要因の決定 蓄積した技術が活きるセグメントはどこか?
狙ったセグメントをどのような差別化要因で攻めるか?
【ケース】 ホンダ 二輪車ASEAN事業
4 マーケティングと顧客インターフェイスの構築 高技術の製品やサービスのよさを認識してもらうためには、どのようなマーケティングや顧客インターフェイスが必要か?
【ケース】 公文教育研究会 インド
5 サプライチェーンの国際分業と統合 差別化要因を創出するためには、どのような国際分業システムを構築すればよいか?
国際分業した業務をどのように統合するか?
【ケース】 ZARA
6 技術移転のWhatとHow どのような技術を現地に移転するか?
どのように移転するか?
【ケース】 旭硝子 タイ
7 オペレーション現場の育成 蓄積した技術を活かせるオペレーション現場を構築するためには、どのような育成をどのように行えばよいか?
【ケース】 トヨタ 南アフリカ
8 現地の雇用構造と技術 採用した雇用構造は、現地におけるどのような技術の蓄積に、どのような論理で貢献しそうか?
【ケース】 コマツ インドネシア
9 開発機能の現地化 開発のどのような機能を現地化するか?
現地化を達成するために効果的な構築プロセスとは?
【ケース】 コカコーラ 日本
10 開発の本国からのコントロール 開発を本国からコントロールするためには、どのような分業体制や工夫が必要か?
【ケース】 デンソー インド
11 国際化の本国への影響 技術や開発の観点から見た場合、国際化は本国へどのような影響を与えるか?
何が技術の空洞化と開発の活性化を分けるのか?
【ケース】 アルプス電気
12 日系大企業の新興国への展開パターン 新興国への海外展開に成功している日系大企業には、どのような共通点が見られるか?
【ケース】 独自事例分析
13 先進国への展開と新興国への展開の比較 先進国への海外展開パターンと成功の論理は、新興国への展開と比べて、どのような点が異なるのか?
【ケース】 独自事例分析
14 中小企業と大企業の展開パターンの比較 中小企業の海外展開のパターンと成功の論理は、大企業と比べて、どのような点が異なるのか?
【ケース】 自動車部品メーカー K社
15 欧米企業と日本企業の展開パターンの比較 欧米企業と日本企業の海外展開パターンの背後に流れる原理と同じか?
それぞれどのような原理が流れているか?
【ケース】 HDD産業 日米比較
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後期(後半)
項目
講義内容
1 国際経営のベースとなるコア技術
(およびオリエンテーション)
何が国際経営で成功するためのコア技術か? コア技術はどのような論理で成功につながるか?
【ケース】 独自事例
2 国際化の合理的動機と進出国の選択 企業はどのような動機で国際化するのか? その動機で進出して本当によいのか?
【ケース】 キッコーマン
3 狙う顧客層と差別化要因の決定 蓄積した技術が活きるセグメントとはどこか? どのような差別化要因で攻めるか?
【ケース】 ホンダ 二輪車ASEAN事業
4 マーケティングと顧客インターフェイスの構築 高技術の製品やサービスのよさを認識してもらうためには、どのようなマーケティングやインターフェイスが必要か?
【ケース】 公文教育研究会 インド
5 サプライチェーンの国際分業と統合 差別化要因の創出を可能にする国際分業システムとは?
【ケース】 ZARA
6 技術移転のWhatとHow どのような技術を現地に移転するか? どのように移転するか?
【ケース】 旭硝子 タイ
7 オペレーション現場の育成 蓄積した技術を活かせるオペレーション現場を、現地にどのように育成するか?
【ケース】 トヨタ 南アフリカ
8 雇用構造の技術への影響 採用した雇用構造は、現地におけるどのような技術の蓄積に、どのような論理で貢献しそうか?
【ケース】 コマツ インドネシア
9 開発機能の現地化 開発機能の現地化を達成するための工夫とは? 効果的な構築プロセスとは?
【ケース】 コカコーラ 日本
10 開発の本国からのコントロール 本国から開発をコントロールするためには、どのような分業体制や工夫が必要か?
【ケース】 デンソー インド
11 国際化の本国への影響 技術や開発の観点から見た場合、国際化は本国へどのような影響を与えるか? 何が技術の空洞化と開発の活性化を分けるのか?
【ケース】 アルプス電気
12 日系大企業の新興国への展開パターン 新興国への海外展開に成功している日系企業には、どのような共通点が見られるか?
【ケース】 独自事例
13 先進国への進出と新興国への進出の比較 先進国への進出と新興国への進出では、成功のポイントや論理について、どのような部分がどのように異なるのか?
【ケース】 独自事例
14 中小企業と大企業の展開パターンの比較 中小企業の海外展開のパターンと成功の論理は、大企業と比べて、どのような点が異なるのか?
【ケース】 自動車部品メーカー A社
15 欧米企業と日本企業の展開パターンの比較 欧米企業と日本企業の海外展開パターンの背後に流れる原理と同じか? それぞれどのような原理が流れているか?
【ケース】 HDD産業 日米比較
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【備考】